はちみつゾンビの呼吸(1)
はい、想像してください。きょうは大変な1日でした。
朝から何だかいろいろなトラブルが起きて、やらなきゃいけないこともどんどん増えて、「あーもう! あー!もう!」と呪いの言葉を吐きながら必死で1日動き回り、全部の用事がやっとさっき片付きました。
たいへんお疲れさまです。
友達のメールに返事するのも面倒で後回しにマンションで部屋に帰ったあなたは、鍵を開けて、部屋のドアを閉めて。はい、ため息をつきます。
「… … はア」
いやいや、そんなに気の抜けた感じではないでしょう?
いま首かしげながらテキトーに吸って吐いたでしょう?
もしくは力の限り吸ったり吐いたりしたでしょう?
疲れて帰って来たときに、悲劇のヒロインのような熱情的なため息はつきませんね。
ちなみに悲劇のヒロイン(気取りの人)をアメリカ語で「Drama Queen」、昼メロのことは「Soap Opera」と言います。平日昼間という時間帯もあって、石けん会社がスポンサーにつくことが多いからでしょうね。
大げさになりすぎないようにしながら、ふだん無意識にやっていることをていねいに思い出しましょう。
小さく慎重に行きます。今度はハナから吸って、クチから吐きましょう。
「… … はアアアア」
そうそう、そういう感じの、グッダグダの「ぶはぁ」とか「ぬわぁ」とか、そういうため息をください。
身体から息を100%絞り出す感じではなくて、力を入れなくても出せる量の息だけ吐けばいいです。
肺活量チェックではないので、いいカッコしても仕方ないです。そもそも誰も見てないでしょう?(笑)
続けます。
ハナから吸って、クチから吐く。
疲れて部屋に戻ったらソファやベッドに直行するというみなさんは、ベッドやソファに寝ながらため息をついてもOKです。
大事なのは「いつもどおり」吸って吐くこと。
普段どんな呼吸をしてるかをスキャンしてみましょう。普段やっていることしか、実践には持っていけませんからね。
練習のときに呼吸や発声に気をつけることはもちろん大事ですが、緊張しすぎて練習でやったことを全部忘れ、本番中に頭が真っ白になったとしても対応できるように、普段から呼吸に意識を置く習慣をつけると便利です。
どんなときでも自分の身体の動きを細かく把握できる能力が高ければ高いほど、上手くなるのは早いですからね。
声を出すだけが発音の練習ではありません。はい、ちゃんとため息ついてますか?
めっちゃ長いので(2)に続きます!→ はちみつゾンビの呼吸(2)を読む
※このコラムは、木村小百合監修「英語はリズムが9割」から引用しました。