2019-09-09

英語を直訳すると「心」が伝わらない。

直訳では心が伝わらない

よく「×××って英語でなんて言うんですか」てレッスンで聞かれるんですが、それもなんか、ヘンな話で。

言葉にはルールがあっても正解はないので、逆に「それってどんな会話のなかで使う予定ですか?」って聞き返してしまいます。

たとえば、ニッポンジンの3大キメ台詞「お疲れさまです」「お世話になります」「よろしくお願いします」、残念ながらアメリカ英語でイコールに直訳できるフレーズはありません。
そもそもこの3つ、日本語でも文字どおりの意味では使われていないですから。

「お疲れさまです」って、相手がホントに疲れてるときより、メールの最初や挨拶で使うときのほうが多いですもん。
「お世話になります」とか、「よろしくお願いします」だって、文章の最後に「頼んだこと、ちゃんとやってね」と正面きって言うと嫌われるから 表現を和らげて言っているわけで(笑)

「お疲れさま」をたとえば文字どおり You must be exhausted.(とっても疲れたでしょう?)と訳すこともできますが、いきなりこんな書き出しのメールが送られてきたら先方が戸惑います。

長いミーティングの直後に、さっきまで同席していた人にメールを送ったりするならアリかもしれませんが、使うシチュエーションを選んでしまいます。

メールの冒頭で挨拶的に使いたい「お疲れさま」を英語にするならhope all is well with you.(お元気でいらっしゃることと存じます)のほうが適切でしょうし、相手から 久しぶりに届いたメールの返事の最初ならIt’s great to hear from you.(近況が聞けて 嬉しいよ)のほうが前のメールを踏まえてる感じが出ますよね。

余談ですが Long time no see! というフレーズ、私はあまり使いません。
だってアジア 人みーーーんな連呼するんだもの、ろんぐたいむのーしー、と、りありー (Really?)!
「お久しぶり」と「ほんと!?」という意味で間違いないのですが、なんかこの、ちょっと手アカのついている感じというか、が個人的にしっくり来ないです。

お久しぶりの人にはむしろ Welcome back!(おかえり!)や How have you been? (どうしてた?)など、相手の話を聞きたいニュアンスの言葉で迎えたいなあ、という気持ちがあります。

私が直訳系のフレーズに「ん?」と引っかかってしまうのも、きっとこの「自分的にしっくり来ない」という感覚を持ってしまうせいでしょう。

日本語でも英語でも、言葉はその人が「言いたい!」と思った感情をその場で言語化したものが一番伝わるんです。

文法的に完全に正しくなかったり、よーく考えると意味がちょっと違っていたりしても、 そのタイミングで「言いたい!」と強く思って唇を動かせば、隠そうとしたった感情は伝わっちゃうものです。

逆にその場の流れと直接関係のない、どこかで覚えたフレーズをドヤ顔で言われても、私の心にはグッと来ないことが多いように思います。

言葉も音楽も表現ツール

この感覚、音楽を演奏するのと似ています。

毎日聴いて育った音楽を聞いて歌って、等身大の自分で穏やかな気分を楽しみたい方。
いつも新しい刺激をいつも探しながら耳をフレ ッシュに保ち、自分の声の可能性を追いかけ続ける方。
間合いの取りかたは人それぞれで すが、みんな自分なりの向き合いかたで音楽との日々を過ごされています。

言葉も音楽も、あなたの表現を円滑に進めるためのツールです。

「歌と英語を同時に勉強しよう!」と言っているのは、ほかでもなく、この英語と音楽に共通する「表現=想いを形にしていくプロセス」を楽しんでもらいたいからです。

「想いを形にする」ということは、暗記をたくさんすることだけではありません。

むしろその瞬間にあなたの感じた心の動きに耳を澄ませて、それを目の前の人やメールの宛先の人に届けるために言葉を操ってもらいたいです。

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